私の妻は25歳。ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)、そして知的障害を持っています。知的障害の程度はIQ46、知能年齢としては8歳8か月程度と診断されています。
彼女との日々は、一般的な夫婦関係とは異なる難しさがあります。しかし、そこにある困難を理解し、適切な対応を模索することで、お互いにとってより良い関係を築くことができると考えています。今回は、妻との生活の中で感じる課題と、それに対する考え方をまとめてみました。
1. 会話の理解力の乏しさ
(具体例)
日常会話において、こちらの意図を正しく汲み取ることが難しく、依頼したことと結果が大きく異なることが多々あります。例えば、「お皿を洗っておいて」と頼んでも、なぜか洗わずに拭くだけで終わってしまうことがあります。
(原因)
知的障害がある場合、言語の理解や論理的思考が弱いため、指示の意図を正しく把握するのが難しいことがあります。また、ASDの特性として、「文脈を読むことが苦手」な傾向も影響している可能性があります。
(対応策)
- 短く、具体的な指示を出す(例:「お皿を洗剤で洗って、スポンジでこすって、すすいでね」)
- 一度に複数の指示を出さない
- 画像や動画を使って説明する
- 確認のために復唱してもらう
2. マルチタスクや優先順位の決定が苦手
(具体例)
料理をする際に、カレールーを一箱全部入れてしまったり、3食分の味噌汁を作ろうとしても倍量作ってしまうことがあります。また、どの作業を先にやるべきか判断が難しく、時間がかかることもあります。
(原因)
ADHDの特性として、「計画性のなさ」「優先順位をつけるのが苦手」「目の前のことに集中しすぎる」といった特徴があります。そのため、全体を見通すことが難しく、細かい調整がうまくいかないことがあります。
(対応策)
- 料理の手順をメモや図で示す
- 分量は事前に測っておき、一緒に確認する
- 「今は何をすべきか」を都度一緒に考える
- タイマーを使って作業の時間を区切る
3. 会話のキャッチボールが苦手
(具体例)
話が突然飛ぶことがあり、会話の流れに沿わずに唐突に別の話をし始めることがよくあります。
(原因)
ASDの特徴として、「相手の意図や文脈を読むのが苦手」「自分の興味のある話を優先しがち」といった点があります。そのため、話の流れが予測しにくく、周囲と会話のテンポを合わせるのが難しくなります。
(対応策)
- 会話のテーマを明確に伝える(例:「この話について話しているよ」)
- 軌道修正するときは優しく「今はこの話の途中だよ」と伝える
- 興味を持ちやすい話題を先に取り入れる
4. 衝動的な行動が多い
(具体例)
時間や相手の都合を考えずに、思い立ったらすぐ電話をかけることがよくあります。また、お金があればあるだけ使ってしまい、借金が絶えません。
(原因)
ADHDの特性として「衝動性の高さ」があります。「今すぐやりたい!」という気持ちが抑えられず、結果を考えずに行動してしまうことが特徴的です。
(対応策)
- ルールを決める(例:「電話をかける前に必ず相談する」)
- お金は現金を持たせず、必要な分だけ管理する
- 衝動を抑えるために「深呼吸して10秒数える」などの習慣をつける
5. 家族との関係
(具体例)
妻の家族はお金に困ることが多く、出産間近にも関わらず10万円を貸したことがあります。妻の姉も携帯代や車検代の支払いが滞ることが多く、親族全体がお金にルーズな傾向があります。
(考察)
家庭環境として、金銭管理の習慣が身についていない可能性があります。また、親族の間で「助け合うことが当たり前」になっていることで、金銭的な自立が難しくなっているのかもしれません。
(対応策)
- 貸すお金の上限を決める
- 必要以上の支援はしないと明確に伝える
- 妻との間で「お金のルール」を決める(例:毎月の使える金額を決める)
まとめ
妻との生活は、決して楽なものではありません。しかし、彼女の特性を理解し、適切な対応をすることで、少しずつお互いにとってより良い関係を築いていけると信じています。
同じような状況の人たちの参考になればと思い、この記事を書きました。少しでも誰かの助けになれば幸いです。
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