2024年から2025年にかけて、イオンカードの不正利用被害が急増している。被害総額は99億円に達し、数万人の利用者が影響を受けた。イオンフィナンシャルサービス(イオンFS)は特別損失を計上し、被害者への補償を進めている。不正利用の手口は巧妙化しており、特にオフライン取引の悪用やApple Payの不正登録が問題視されている。

不正利用の主な手口
オフライン取引の悪用
犯罪グループは、スマートフォンにカード情報を登録し、通信を遮断した状態で少額決済を繰り返していた。オフライン取引ではカード会社の承認を必要としないため、カードが停止されても不正利用が続くケースが多発している。
フィッシング詐欺
偽のメールやSMSを利用し、カード情報を詐取する手口が横行している。特にリアルタイムフィッシングが多く、カード番号や認証コードを盗み取られる被害が相次いでいる。
Apple Pay iDの不正登録
盗んだカード情報をApple Payに登録し、店舗で繰り返し購入するケースが報告されている。特に問題なのは、利用者に通知が届かないため、請求書が届くまで不正利用に気付かない点である。
イオンFSの対応策
イオンFSは被害拡大を防ぐため、以下の対策を実施している。
- 被害全額補償:不正利用が確認された場合、全額補償を行う。
- 再発行カードの即時発行:被害者に対して、新しいカードを迅速に発行する。
- 3Dセキュアの義務化:ネット決済時にワンタイムパスワードを要求する仕組みを導入。
- オフライン取引の限度額引き下げ:オフライン決済の金額を制限し、被害を最小限に抑える。
- 24時間365日のモニタリング強化:AIを活用した監視体制を強化し、不審な取引を検知する。
- 詐欺被害相談ダイヤル(0120-557-305)を開設:利用者からの問い合わせに対応する窓口を設けている。
利用者が今すぐできる対策
3Dセキュアの登録
3Dセキュアに登録し、ネット決済時にワンタイムパスワードを利用することで、不正利用を防ぐことができる。イオンカードの公式アプリ「イオンウォレット」や暮らしのマネーサイトから登録可能だ。
利用明細の定期的な確認
不正利用を早期に発見するため、利用明細をこまめにチェックすることが重要だ。アプリを活用し、家族カードも含めた利用履歴を確認することで、不審な取引を見逃さないようにする。
オフライン取引の制限
カード会社に連絡し、店舗端末でのオフライン取引を制限することも可能だ。詳細はイオンカードのコールセンターに問い合わせる必要がある。
被害に遭った場合の対応策
1. すぐにイオンカードコールセンターへ連絡
不正利用が発覚したら、ただちにイオンカードのコールセンターへ連絡し、カードの利用停止と再発行を依頼する。
2. 不審なメールやSMSの証拠を保全
フィッシング詐欺に遭った可能性がある場合、不審なメールやSMSのスクリーンショットを保存し、警察やカード会社に報告する。
3. 関連口座の監視を継続
カードを解約した後も、銀行口座の引き落とし履歴を定期的に確認することが重要だ。不正請求が発生していないか注意する。
家族カード利用者が注意すべきポイント
家族カードの利用明細は、本カードの明細と混在して表示されるため、アプリの「利用者ごと表示」機能を活用することで、誰がどの取引を行ったかを明確にできる。また、家族カードにも3Dセキュアを適用し、SMS認証を共有端末で管理することが望ましい。
今後の課題
イオンFSは、オフライン取引の根本的な解決策を模索しているが、2025年3月時点では「十分な対策には至っていない」と認めている。利用者側も、定期的なパスワード変更や、不審なリンクのクリックを避けるなど、自己防衛策を徹底する必要がある。
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