伊藤忠が出資を断念したセブン&アイの買収対抗MBO MBOとは?過去の事例は??

時事トレンド
a8ネット

はじめに

マネジメント・バイアウト(MBO)は、企業の経営陣が自社の株式を買い取り、経営権を取得する手法です。これにより、経営の自由度が増し、長期的な戦略を実行しやすくなります。しかし、多額の資金調達や既存株主との利益相反などの課題も存在します。以下では、MBOの特徴や目的、そして具体的な事例を紹介します。

MBOの特徴

1. メリット

  • 迅速な意思決定が可能:経営陣が株主となることで、外部の意見に左右されず、スピーディーな意思決定が可能となります。
  • 長期的な経営戦略の実行:短期的な株主利益にとらわれず、長期的な視点での経営が可能となります。
  • 株主還元の負担軽減:配当や株主優待などの負担が軽減され、内部留保を活用した投資がしやすくなります。
  • 情報開示負担の軽減:上場企業の場合、非公開化により法定開示やIR活動の負担が減少します。

2. デメリット

  • 多額の資金調達が必要:株式買い取りには多額の資金が必要であり、金融機関からの借入や投資ファンドからの出資が求められます。
  • 既存株主との利益相反:買い取り価格や条件によっては、既存株主との間で対立が生じる可能性があります。
  • 経営リスクの増大:借入金の増加により、財務リスクが高まる可能性があります。

3. 一般的な実施目的

  • 事業再構築:経営陣が主導で事業の再編やリストラを行いやすくなります。
  • 経営の機動性向上:外部株主の影響を排除し、柔軟な経営判断が可能となります。
  • 株式市場からの退出:上場廃止により、株価変動や敵対的買収のリスクを回避できます。
  • 事業承継対策:後継者が経営権を確保し、円滑な事業承継が可能となります。

事例紹介

1. すかいらーく(2006年)

2006年、すかいらーくは野村プリンシパル・ファイナンスなどと約2,400億円でMBOを実施し、非公開化しました。その後、業績の立て直しを図り、2014年に再上場を果たしました。

2. ツバキ・ナカシマ(2009年)

2009年、精密部品メーカーのツバキ・ナカシマは、カーライル・グループによる約667億円のMBOを受け、非公開化しました。その後、業績を改善し、2017年に再上場しました。

3. USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)(2009年)

2009年、USJはゴールドマン・サックスによる約690億円のMBOを実施しました。その後、集客力を高め、2015年に米国のコムキャストに売却されました。

4. ポイント(現・アダストリア)(2005年)

2005年、アパレル企業のポイントは、経営陣とアドバンテッジパートナーズによるMBOを実施しました。翌年の2006年には再上場を果たし、現在はアダストリアとして事業を展開しています。

5. スターバックスコーヒージャパン(2014年)

2014年、スターバックス・コーポレーションは、日本法人であるスターバックスコーヒージャパンを完全子会社化しました。これにより、ブランド戦略の一貫性が高まり、日本市場での事業拡大が加速しました。

6. Dell(2013年)

2013年、デルの創業者であるマイケル・デル氏とシルバーレイク・パートナーズは、約244億ドルでMBOを実施し、非公開化しました。その後、業績を回復させ、2018年に再上場を果たしました。

7. Hilton Hotels(2007年)

2007年、ブラックストーン・グループは約260億ドルでヒルトン・ホテルズを買収しました。その後、業績を向上させ、2013年に再上場しました。

これらの事例から、MBOは企業の再生や成長戦略の一環として有効に機能することがわかります。しかし、資金調達や既存株主との関係など、慎重な検討が必要な側面もあります。企業の状況や目的に応じて、適切な判断が求められます。

    このフォームはスパムを低減するために Akismet を使っています。 データの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました